「人生にはたったひとつだけ、意味を与えてくれる色がある。
それが愛の色だ。
」別名、愛の作家と呼ばれるシャガールが残した言葉です。
シャガールは、1887年7月7日ロシアのベラルーシで、ユダヤ人の家庭に生を受けました。
幼少のころから芸術に惹かれ、絵心のあった少年は、サンクトペテルブルクの美術学校で学びます。
けれども格式ばった校風に違和感を感じた青年は、ロシアを飛び出しパリへ移り住んで、当時の美術界に新しい風を吹き込んでいた、キュビズムに触れ、影響を受けたと言われます。
5年後パリから故郷へ戻ったシャガールは、ベラというウェーブのかかった黒髪の美しい女性を紹介され、妻に娶ります。
妻であるベラへの愛、生涯変わることの無かったこの愛をベースに、数多くの作品が生まれました。
「誕生日」という作品は、愛するベラの誕生日を祝う幸福感で、思わず体が舞い上がり、妻に接吻するシャガールと、花束を抱えて接吻を受けるベラの仲むつまじい姿が描かれています。
赤い薔薇の花束を抱えたベラと、彼女に向き合うシャガールが描かれた、「結婚」は、二人を包む愛や恥じらい、厳粛な気持ちが入り混じった、おごそかな愛の抒情詩のような一枚です。
二人を描いた「赤い薔薇の恋人達」も、見ていて幸福な気持ちになれる、作品です。
色彩の魔術師と形容されるシャガールの優しい色使いと、心の底からあふれ出る彼の愛のハーモニーで、見ているこちら側にも幸福感が伝わってくるような、そんな力を感じる作品群です。